アルバムの法則 完結編


実は先に述べたような 3や 4の状況から,私は脱却してしまった。
つまり金銭的には CD を買うことにはある程度は不自由しなくなったのである。
したがって最近は購入前にこの法則を駆使することは少なくなった。

僕がこの法則のユーザーとして衰えを見せている昨今,
この法則を駆使してナイスCDをゲットする貧困な若き獅子たちが育つことを祈るのである。



では早速であるが図1を見ていただきたい。
グラフの見方としては,横軸に曲数,縦軸にその曲のポイント数が表されていると思っていただきたい。
その曲に対する評価,ポイントには個体差があるので必ずしも同様のグラフが
描かれるとは限らないことを先に断っておく。

なんやねん
とお思いであろうか。
ついてきて頂いているだろうか。
なんだか論文口調になっているが頑張ってついてくるのだ。

図1
ここにとある2種類のアルバムの評価例を挙げた。
世にあるアルバムの8割から9割はこのパターンを踏襲していることは
長年の私の調査により判っている。
つまり,先に述べた「釣り橋型」である。
ここで大事なことは,
そのアルバムがどういう理由で釣り橋型になっているか
ということである。
図1に2種類のグラフを載せているのは比較の意味もある。
つまり,この釣り橋型をどの程度のレベルで実現させているかということである。
同じ釣り橋型でもそうなった理由が様々にあるのだ。

青いグラフを見て頂きたい。
これは,釣り橋型を意図的に実行し,
アルバム自体を高いレベルで完成させたパターンであるとしよう。
山が3つあるのがわかるだろうか。ポイントの「非常に」高い曲が3曲。
これらがシングル曲とそうでない曲で形成されている事が望ましい。
山の全てがシングルでなくても一向にかまわない。
そして谷である部分もかなりの高ポイントであるのでこの谷はアルバムを良くするための
意図的な谷と見ることも出来,結果ユアフェイバリットアルバムとなるものである。
この谷にひとつでも異様に低いところがあるとそれだけでお釈迦になってしまうので注意が必要だ。
著者は今までに数枚そういったアルバムを経験したが,これは中傷誹謗の類となるためここでは公表できない。

次に赤いグラフを見ていただきたい。
このグラフはネガティブな釣り橋型を想定する。
つまり形成する山は全てシングル曲。それ以上の曲が1曲もない。
最終曲で少し上がっているのがせめてもの救い,といったところだ。
このようなアルバムだけは回避せねばならない。

いかがなものだろうか。
私の伝えんとしていることが解って頂けただろうか。
これらのことを念頭に入れておくと法則を駆使できるようになるのだ。
ここからが大事だ。
例えば貴方が店頭で買うか買うまいか迷っているそのアルバム。
シングル曲が何処に入れられているかをチェックすることだ。

極端な例を挙げてみる。
アルバムの曲数にもよるが,全10曲であったとして,1曲目と9曲目にシングルが入っていたとしよう。
そのシングル2曲は貴方にとってはかなりの好印象だった。
であればこのアルバムは恐らく「買い」だ。
製作者の意図として,5〜6曲目あたりに必ず「山」を配置している。
「シングル依存型」ではあるが,この山の高さによってこのアルバムの出来がわかるだろう。
また,シングルが1曲だけ最初の方か,あるいは最後の方に1曲だけ入っているものも「買い」だ。
所謂「シングル非依存型」である。シングルに依存することなくアルバムが勝負できる物だという
製作者の意図がヒシヒシと感じられる。
また,前のアルバムが発表されて以降,3曲シングルが発表されていながら,
そのうち1曲だけが新アルバムの1曲目に使われている,という状況。
確実に「買い」のパターンである。かなりの自信作なのであろうと予想できる。


同じように全10曲であったとして,4曲目と7曲目にシングル曲が配置されていたとしよう。
この場合,この2曲に好印象を持っていたとしても要注意が必要だ。
ネガティブな「シングル依存」が考えられる。
何故なら,惰性でシングルまで持っていき,惰性で終わろうという魂胆があるかもしれない。
というより絶対そうだ!だまされてはいかん!いかんぞ!
...と,経験者は云いたい。

難しいのは5か6曲目に1曲だけシングルが入っていた場合である。
非常に難しいが,最初と最後に「山」があるか無いか,で決まることがもうおわかりであろう。
このあたりはそのアーティストの過去のアルバムや性格,貴方の勘に頼る他ない。
もしそのシングル1曲だけでアルバムを持たせようなどという考えのアルバムはそんなものはクソだ。
さっさと売ってしまうに限る。ついでにそのアーティストを見放すと良い。
プロデューサーもチェックしておけ。

シングル曲が1曲も入っていなかった場合はそれだけで好印象を持っても良い。
但し,その際は冒険を伴う。後述する図2の赤いグラフになっていないことを願ってレジに持っていこう。

図2
いささか感傷的になってしまったが図2の説明に移る。
前述したように大部分のアルバムは釣り橋型で決着を見るのだが,そうもいかないツワモノがいる。
所謂「水平型」である。
こちらは大きく2種類に分かれる。
先ずはベスト盤と呼ばれる物だ。
そんなもん青いグラフのようになるのはわかっとるわいっ!
てなもんである。
これは全体的にレベルは高いものの,先に述べたような「意図的な谷」がないため,
アルバムとして「良いアルバム」とは思えない。
私がベスト盤を快く思わない所以である。

そして,次には神が味方したようなアルバムがあるのである。
谷もないくせになんてアルバムだ!というやつである。
おそらく皆さんもそういうアルバムに出会っているかもしれない。
もう法則の範疇外である。しかし良い意味で裏切っているのだから許して欲しい。
これは例を挙げても良かろう。
フリッパーズギターのファーストアルバム

「three cheers for our side」

がそうである。なんてこった。
セカンド以降はどちらかといえば「釣り橋型」である。ただしハイレベルではある。
ファーストは違うのだ。
その他にもこんな神が舞い降りたかのようなアルバムがあれば教えていただきたい。
予想ではゴダイゴあたりはやっていそうだ。

最後になるが図2の赤いグラフについてはここではもう述べない。
こんなグラフのアルバムに出会ったら私に報告すると同時に,
消火器をもってレコード会社に突撃すると良い。


それではこの法則を使って素晴らしいミュージックライフを送ってもらえることを
期待しながらこれにてペンを置く。




「おまえ言ってること間違ってるやんけ!」
あるいは
「貴方の言うとおりだ」
といった報告。
掲示板あるいはメールにてお待ちしております。


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