2005/01/29
Sat.
「霧の読書マイル、人の弱さを憎むべきか」

カエサルを撃て/佐藤賢一
これは面白くなるまで時間がかかりました。
= 読み終わるまでに時間がかかりました。

三分の二あたりまでは遅々として進みませんでしたが、「今週のごっつええ詩」に採用させていただいたくだりに辿り着いたところから、物語は恐ろしいスピードで進んでいきました。
= 何駅にいるか分からなくらい集中して読み耽りました。

二人のガスコンでもそうでしたが、男の弱さ、それを本人が克服するところの描写がすばらしい。
しかも今回はそれがユリウス・カエサルですからね。
男の子なら間違いなく熱くなるでしょう。
三分の二まではガリア王、ヴェルチンゲトリクスが主役ですが、ここからはユリウスが主役を乗っ取る感じです。

男の弱さ関連で思い出しましたが、映画アイデン&ティティも良かったっすね。
主人公役は現、銀杏BOYZの峯田くん。
すぐに流されてしまいそうになるけれど、意見を絶対まげない主人公を演じます。
こちらも映画の中の台詞を「今週のごっつええ詩」で採用しちゃいました。
まだ見てない方は先に映画をどうぞ。

次の佐藤作品は「ジャガーになった男」の予定。


屍鬼(全五巻)/小野不由美
彼女の著作は基本的にのめりこむまでに時間がかかるんですよね..
十二国記のときも最初の巻はまるまる一冊分、「超ローテンション陽子(←主人公)」に付き合わされてこっちまでローになる始末..
しかしそれを抜けると怒涛のようにハマってしまうという性質をもってますね。
本作も最初の巻の三分の二くらいまでは読むのがつらいレベルで。
なかなか進みませんでした。
二巻あたりでもうエンジン全開です。
しかし、三巻の途中あたりから、「おや?」と思い始めました。
これ、ホラー小説か?と。

(ネタがばれている可能性がありますのでこれから読み始める方、ご注意ください)

小野不由美の屍鬼、といえば、世間的に言えば彼女の旦那の作品と並んでホラー小説の棚に陳列されたりしています。
しかし、本作に出てくる屍鬼。
こんなにリアルに実体をもって登場させられてしまうと、怖くも何ともないですよ。
一周まわって、結局怖いのは人間じゃないか、というところに行き着いてしまってます。

巻末の宮部みゆきさんの解説が、違った切り口でこの作品を評していますが、僕に言わせれば、これは、よしりんの戦争論と大差ないです。
イデオロギーの異なる善と善が対峙したときに日本人である我々はどうすべきか、と問い掛けている。
欧米の一神教が持つ秩序という枠の中で、悪のレッテルを張られた事象は、果たして我々日本人の中でも悪なのか?
人間同士の戦争の、一方は善で一方は悪なのか?

つまりこれは、ホラー小説ではないです。
が、一読の価値ありです。
あなたがどういう感想を持つか、ぜひ聞かせていただきたい。

七月二十四日通り/吉田修一
これは新刊なので通勤途中で読んでないんですが、一応。
やっぱり僕の中で吉田修一は、ベストです。
清濁併せ呑む、というか、そのいずれもを包含しているということにおいて彼の作品のバランスたるや、他を寄付けないですね。
それは、リアルと言い換えてもいいでしょう。
僕が世の中に対して持っているリアルと、彼が表現するリアルは、まさに、リンクしています。

本の帯にね、
「東京湾景」の著者が送る、最新長編ラブストーリー!
って書いてあるんですよ。
バカか、この帯作った奴。
吉田修一をバカにすんな、コラ。



2005/01/14
Tue.
「キュン殺し犯で逮捕したろか このおっさん」

タイトルは ラブ★コン/中原アヤ より感動の名場面でございます。
正月に実家に帰ると、弟が何かしら面白い本を持っているので、読ませてもらいます。
今年はラブコンでした。
ちなみに去年はキラキラ!/安達哲。
一昨年は軌保博光氏(現テンつくマン)の本たちだったかなあ。
見るからに少女マンガでしたのでかなりヒきましたが、キましたね。
ちょっと主人公(♀)の頑張りにホロっときましたね。
そして主人公(♂)に痛く感情移入というか、「わかる!おまえ!」と思いましたね。

設定としては背の高い♀が自分より背の低い♂に恋してしまう、という、分かり易い設定。
健全なハッピーマニア/安野モヨコってところでしょうか。
珍しく全編関西弁でございます。

まあ、どっかで見かけたら読んでみてください。
野郎でも面白いと思える直球恋愛マンガでした。