2004/09/11
Sat.
「一歩、一歩。」

少し前にCCCDに関しての文章を書きました。
最近の音楽事情で主だったところですと、RealNetworksがiPodに音楽を落とせる仕組み(とそのためのソフトウェア)を作った(※1)ことが波紋を呼んだり、アジカンが今度CCCDでアルバムを出すけど聞きたさのあまりタワレコで予約しちゃったり、soulsberryが久々にインディーズからアルバム出してたから喜び勇んで購入したらCCCDだった(AVEXが絡んでいた)り、iPodを修理に出したら新品が返ってきてすんげえ嬉しかったり、色々な出来事が起きています。
あと、最近書かれた萩原健太さんのCCCDへのご意見がこちらから読むことが出来ます。
まったくそのとおりですね。音楽を生み出す人でもなく、音楽を聴いている人でもない、そのどちらでもない人間が利益を搾取するための基盤を整えているだけ、というこの歪んだ形態。

明るい方の話題としては、SACD(Super Audio CD)やDVD-Audioといった規格での出版がちょっとずつ増えてきているようだってことでしょうか。
今度の奥田民生のニューアルバムはSACD版も出版されるようです。

更に、音楽のことを真剣に考えている人たちが作った、レコミュニ(ちょっと言い難い..)がそろそろスタートします(※2)。
このレコミュニ
WANを通じての無制限かつ非合法な音楽共有の仕組みに一石を投じるシステムになっています。
WAN上で(WEB上で)音楽を共有しながら、かつ権利者にはきちんとした著作権料が支払われます。
会員は紹介制で個人のみ。アップロードした人にもインセンティブが払われるという、アイデアだらけの仕組みですね。

しかし今までにCCCDで発売されてる楽曲なんかはどうなるんだろうな..
このレコミュニでダウンロード可能になるためには、そもそもの音楽会社がOKを出すことが前提になる。
SONYやAVEXがどうするかだよなあ。

こちらでは音楽配信メモの津田さんによる、レコミュニ取材の一部がお読みいただけます。

それ以外に一つ気になったのが、「アルバムビジネス(楽曲まとめ売りビジネス)の解体」がコンセプトに入っているという部分。
(アルバム単位でのダウンロードは当初はできないということです)
これ、確かに音楽業界全体からみてみれば、売れたシングル曲との抱き合わせ的楽曲のまとめ売りのようなアルバムがたくさんあることも確かで、それを駆逐するというコンセプトも、いいでしょう。
ですが僕はあえて言いたい。
アーティストは、複数の曲をセットにしてアルバムという単位の芸術作品が作れてなんぼじゃい!
曲と曲間の無音秒数まできっちり意図して作れてこそ真のアーティストじゃい!
と。
だから、アルバムという単位をもっと大事に看ていきたいのです。

いずれにせよ僕は早急に会員になりたいです。
誰か僕をレコミュニに紹介してください。


(※1)いくつかの音楽配信サイトが世の中には存在するが、iPodに音楽を落とせるサービスはiTMS(iTunesMusicStore)からのみであるように、Apple社は仕組みを作ってきた(商売が独占できる状況を作った)。
しかしここにきてRealNetworks社が、独自の音楽配信サイトからのダウンロード曲をもiPodに落とせるようなソフトウェアを作ってしまったこと(Appleからすればリバースエンジニアリングだろ、という行為)が、今、問題となっています。

(※2)最近私が愛用している(毎日こっそり見に行っている)ミュージックマシーンさんから情報を頂きました。




2004/09/08
Wed.
「霧の読書マイル、ちょっと頑張ってみるの巻」

さて現在の、霧の読書マイルリストです。

「すべての雲は銀の...(上)(下)」 村山由佳
「二人のガスコン(上)(中)(下)」 佐藤賢一
「豹頭王の行方」 栗本薫
「スポーツは良い子を育てるか」 永井洋一
「川の深さは」 福井晴敏 (現在読書中)

ダメだ..
電車の中で読み終わるのですぐに文章が書けないことが災いしております。
今のところ、上記の作品を読み終わっておりますが、これっぽっちも書評を書いておりません。

すぐ書かないと、その時どう感じていたかということを上手く表現できなくなってしまうのですね。僕の場合。
まあでもそれだと最初の「書きます!」宣言がね..
このまま書かないで流してしまうとかなりのダメ男ですので、反芻しつつ、書ける範囲で書いてみようと思います。

「すべての雲は銀の...(上)(下)」 村山由佳
これはね、一言で言うなら、優しい本です。
とは言え内容としては、痛い内容が続きます。
主人公が長野に赴き滞在する理由然り、主人公が長野で出会う人々の境遇や抱えている問題然り。
しかし、それら現在の日本や、そこに住む人々が抱えている問題たちを俯瞰的に眺めて包み込んでいるような、作者の目線が、とても優しい。
別に、それらの問題を作者として第三者的に許すとか、慰めるとか、そういう意味ではありません。
作者は、立場としては非常に冷徹で残酷です。
でも、優しいんですよね。間違いなく。


「二人のガスコン(上)(中)(下)」 佐藤賢一
以前に、ケチって文庫化を待ったことまでは書いたでしょうか。文庫で買っても2000円くらいかかります。
だが..これはおもろい!
男の子なら間違いなくハマりますね。
ハマるという意味では、本作だけでなくて「双頭の鷲」だって「王妃の離婚」だって「傭兵ピエール」だってハマります。
ただ、今回のは、ハマり方がちょっと違う。

題名のガスコンですが、ガスコーニュ人のことをガスコンと呼ぶそうです。
つまり、二人のガスコーニュ人の、お互いに対する反発そして友情、信頼の深まってゆく様を描いたものが本作であるわけです。
作者には申し訳ないですが、フランス史にまったく詳しくないため、どこまでが史実であるのかの見分けが僕にはつきません。

したがって二人のガスコン、すなわちシャルル・ダルタニャンとシラノ・ド・ベルジュラックの間に、実際にこのような友誼があったのかどうかも分かりません。
(巻末の解説に、この二人が出会ったと史実はない、というような記載を見るまで、全くの真実だと思っていました。いや、そう思いたかった。)

本作の中には、この二人のガスコンの強さ、弱さ、脆さ、男気、そういった全てがひっくるめて入っています。
だから、かっこいいんです。

佐藤賢一さん、この作品の半分以上がフィクション(あなたの想像世界)だっていうなら、あんた、マジすげえよ。


「豹頭王の行方」 栗本薫
言わずと知れたグインサーガの96巻です。
てか知らない人は全く知らないのかな..
この作品は、好きな人だけ読めばいいので、特に感想は書きません。
佳境です。

「スポーツは良い子を育てるか」 永井洋一
これは上述の村山由佳さんの作品と、問いかける内容についてかなり近いものがあります。
そして、僕がおぼろげに「こういうことだろうなあ」と思っていたことを確信に変えてくれる本でした。
探して買った甲斐があったと思います(生活人新書という新書版です)。
この確信を持って「水のように 4」にとりかかります。

これから親となる人たちには必読の本なのですが、多分世の中の大多数の親には、彼のメッセージは届かないのでしょうね。
僕にはそこに、養老氏の言うバカの壁が見えます。

作者の永井洋一さんと、平尾誠司さんとの対談を見つけましたのであわせてどうぞ。
http://www.scix.org/talk/index.html



2004/09/07
Mon.
「座頭市 directed by 北野武」

最近は書く暇がないので実はこれ、昨日の書き貯めなんですけどね。
DVD借りて首題の映画を観ました。

これってカンヌだかベネチアだかで賞もらってましたね。
これに賞あげたら、ダメです。
これは、元があるから武さんが好きに遊べてるだけじゃないですか。
だから見方によっては良いアレンジとも言えるんでしょうけど。

これに賞をあげるんだったらデビルマンとかナウシカはもっと凄い賞もらわなきゃ。
てか映画のナウシカは大したことないか。
てかデビルマンは映画にはなってないか。

あっ
ダメダメ

映画にした途端、しょうもない作品になっちゃうから。
原作を超えるような映画、出会ったことないから。

もし、仮にそんな映画があったとしたら。
あったとしたら、それはもはや別の作品です。

うーん
唯一、井上雄彦氏のバガボンド(吉川英司の宮本武蔵が原作)だけは、あれはちょっとすげえなあ..
あれはもう、いろんな意味で別世界でしょう。
原作読んだ人で、かつ今、バガボンド読んでる人、何か異論ありますか?

あっ
これはあくまで僕の感想ですからね。



2004/09/06
Mon.
「例えそれが」

出どころがスポーツ新聞ですから、真偽の程は定かではありませんし、
針小棒大な報道がされている可能性も多分にありますが、堂本剛くんのソロコンサートでの話がYahooのトップに載っていました。
彼が「総体としての人間」に対して不信感を抱いているということを、見に来ていたファンに話をしたと書いてあります。
彼の仕草や、言動を何度か見ていて、なんとなく自分と似た雰囲気(世間に対する態度)に気づいてはいました。だから

ああ、やっぱりね、と思いました。

その話の結末がどうだったのかがよく分からない報道ですが、彼は僕の一歩先にいったのではないかなと思います。

その報道では「人間不信だった」という風に彼のことを書いています。
総体としての人間に対して、真摯であろうとすればするほど、
そういう状況に陥る可能性が高いということに一体どれだけの人が気づいているでしょう。



座席をゆずる覚悟もないのに優先座席に座っている少年
まったくの健康体なのに駅のエレベーターで2Fから1Fに降りる若い女
乗り込むや否や一人分だけ空いている電車の座席に一目散に駆けていく男
タバコをふかしながら横に並んで喋り歩く二人の男
通路の真ん中にベビーカーを止めて談笑する母親
歩道の側溝にタバコを捨てるやつら